OHMI ではより気軽に、より身軽な装備でアウトドアライフを楽しんで欲しい! そんな思いでギア制作を行い、なるべく手に取りやすい価格で提供することを心がけています。
そんな思いもあって、今まではダブルウォールの自立式テントに代表されるような山岳用ドーム型テントでテント泊していた人にも、ワンポールフロアレスシェルターの Larda や Aero Tarp Duo を使ってタープ泊で山へ行って欲しい!と思ってはいますが、使ったことがない人がいきなりフロアレスシェルターにチャレンジするのはハードルが高いのも事実。
そこで今回は、ワンポールフロアレスシェルターを初めて使う人が気になるであろうポイントをふまえつつ、解消方法もここで挙げていきたいと思います。
と言いつつ、この数年でフロアレスシェルターに慣れきってしまって初心には帰れそうにないので(笑)テント泊を始めたばかりの友人に、フロアレスシェルターのどんなところが不安に感じるか 聞いてみました。
ワンポールフロアレスシェルターへの不安
耐風性が低そう
まず真っ先にあがる不安要素だと思います。ポール1本だけで立っていて、壁となるのは薄い生地一枚。不安に感じるのも分かります。
実際に比較したことがないので正確なことは言えませんが、地面にしっかり固定することが出来ればかなり耐風性が高いデザインだと思います。むしろドーム型テントより安心できるのではないか?と感じたこともあります。
地面にしっかり固定することが出来れば、と書きましたが、ここが盲点でして「自立式テントは地面に固定しなくても使える」という話を時々耳にします。
実は、地面にしっかり固定しないと風にあおられてしまうのはドーム型テントも同じです。さらに、テントポールで立ち上げられた壁により風を受けやすいため、固定していないと悲惨な目に合います。
つまり、風が強くても安心して過ごすために地面にしっかり固定する、というのはドーム型テントもワンポールフロアレスシェルターも一緒、ということです。
では、しっかり固定するためにどんなことに気を配っているのか、それは後程。
雨の侵入が怖い
これもよく聞く不安要素の一つです。
夏に高山エリアに行くとほぼ間違いなく遭遇するのが夕立。一度に大量の雨が降ることで、張ったときには気付かなかったけどすぐ横に小川が流れてたり、就寝エリアの下が池になってたり・・・
高山でなくても、雨が降った時に就寝スペースに浸水するのではないか??と気になりますよね。
設営場所を見極めましょう!と言ってしまえばそれまでですが、フロアレスシェルターなりの対策方法もあります。
寒そう
ワンポールフロアレスシェルターもモデルにもよりますが、4辺、地面との間にわずかでも隙間ができますからね。
ハッキリ言います。寒いです!
この数年、フロアレスシェルターばかり使っていたのでなんとも思っていませんでしたが、この夏、フロアレスですが全周スカート付のシェルターで北アルプスを縦走したとき、シェルター内の暖かさに驚きました。(いや、暖かいというか暑かったです。暑すぎて就寝時、寝袋は上から掛けるだけで十分でした。)
きっとダブルウォールテントでソリッドタイプのインナーだったら同じくらい暖かいのではないでしょうか。
ただ、寒いとはいっても外気温が5℃以上であればさほど気にはならないと思ってます。*あくまで個人的な感覚です
Larda の商品ページでは、センターポールの高さを5〜10cmほど下げる対策を紹介しております。これは不安、風、雨の侵入対策にもなりますし、隙間風から感じる寒さ対策にもなります。
後述ではその他の解消方法もご紹介します。
スカート付フロアレスシェルターで3泊4日の北アルプス山行。画像は1日目の雲ノ平。
センターポールを倒してしまいそう
確かに!
友人曰く「寝返りをうったときに蹴とばしてしまいそう」だそうです。
寝返りが激しいかは置いといて、ふとした拍子にセンターポールに当たっても倒れないかな?と気になるのは分かる気がします。
ひとまず不安要素は4つ。では、解消方法を考えていきます。
解消方法
形状違いのペグを数種類持っていく
風への対策になりますが、ワンポールフロアレスシェルターに限らず、タープ、ドーム型テントでも使える一番定番な方法です。
テント購入時に付属されたペグしか使ったことがない、という方も多いかと思いますが、ペグにも形状によって得意不得意な地面があります。ここでは詳しくは書きませんが、幕営予定地の地面が「柔らかいのか硬いのか」「土メインなのか岩メインなのか」それによってペグを使いわけます。
初めて行く場所だから地面の状態が分からないよ!という場合は、色々な形状のペグを持っていきます。本数も少し余裕をもって。
形状がバラバラだとコンパクトにまとまらないというデメリットはありますが、対応できる地面のバリエーションが増えるのでおススメです。
フロアレスシェルターの場合、「形状を保つためにより強く固定したいポイント」というのが必ずあるので、そのポイントには一番効くペグを使い、残りのポイントは他のペグで固定(最悪、抜けても倒れはしない)といった使い方をします。
四方に岩を並べる
強風だと効果があるかは微妙なところですが、雨対策には有効な手段です。
分かり易く言ってしまうと、土嚢です。もちろん、きっちり隙間をうめることはできませんが、雨の跳ね返りは劇的に入りづらくなりますし風もやんわり防いでくれます。
当たり前ですが、テンバに岩がたくさんある時につかえる対策です。テンバによって「石、岩の移動禁止」「区画内の石、岩のみ使用可能」などルールがありますので、どこでも使える対策ではない、 ということは覚えておいてください。
白馬岳頂上宿舎のテンバ。この日は荒天予報だったのでかなり低めに設営。
ビビィと併用する
ビビィとは、頭の先からつま先まで全身覆うことができるシュラフカバーを少し大きくしたようなもので、私が大好きなギアの一つ。OHMI には MT Bivy があります。
ビビィは良くも悪くも狭いので、空間内が温まりやすく寒さ対策にはとても効果的です。そして、狭いので枕やマットがずれません。体がはみ出すようなこともないので、センターポールを倒してしまいそうな対策にもなります。さらにMT Bivyはソフトタイベックで出来ているので防水性もある。つまり、フロアレスシェルターを使いながらも就寝スペースだけダブルウォール化させてしまおう!ということです。
寒さ解消できて雨対策も出来て、寝返りでセンターポールを蹴とばす心配もない(笑)
一石三鳥、いやもっとメリットがあるかもしれません。
ただ、狭いところが苦手という方にはおススメしません。MT Bivyは顔の上部を吊り上げることが出来るので閉塞感は少ない方だと思いますが・・・
Dual Pole Extenderを使う
これはセンターポールが嫌だなという方にはおススメです。
トレッキングポールを2本使ってワンポールからAフレーム型に 変換するパーツ です。OHMI でも取り扱っています。シェルター内が格段に広く使えますし、もちろん倒してしまう心配もありません。検証はしていませんが、耐風性も若干上がるのではないでしょうか。
デメリットはトレッキングポールを2本持っていかなければいけないこと。ただ、トレッキングポールを2本必ず使う方にとってはデメリットですらないですね。
グランドシートのバスタブ化
これは、個人的にほぼ毎回行っている雨対策です。
なんてことはない、テンバにある石や木の枝をグランドシートの端が少し立ち上がる位置に置きます。立ち上がりさえすれば置物はなんでもいいので、私は靴や行動中に使うウォーターボトルも使います。
その際にいい仕事をするのが、シェルターを支えているセンターポール。センターポールにかかるようにグランドシートを敷き、5〜10㎝ほど立ち上げます。しっかりしたバスタブが出来るのでかなり安心感があります。
解消方法は他にもありそうですが、こんなところでしょうか。
このように書いていると「今まで通りドーム型テントでいいや」と思う方もいそうですが、ワンポールフロアレスシェルターだからこそのメリットもちゃんとあります。
ワンポールフロアレスシェルターを選ぶ理由とは?
私が思うフロアレスシェルターの一番のメリットは、土間があること!
土間のおかげで、設営&撤収がとても楽なこと!
土間というのは、昔ながらの一軒家にはあったあれ、靴のまま家の中に入れるあのスペースです。
土間がある広い玄関って、大きい荷物を持っていても出入りしやすかったり、靴が履きやすかったりして便利ですよね。
まさしくフロアレスシェルターの内部は、土間がある広い玄関そのものなんです。
設営ができたら、靴のままシェルター内に入り、グランドシートやビビィを敷いてその上にマットと寝袋を広げて完成。
撤収はその逆。シェルターの中で全てのパッキングを終わらせて、最後にシェルターをバックパックの一番上かフロントポケットにしまって完成。
雨が降っている時など天候が悪い時ほど、土間をありがたく感じます。
さらに、ダブルウォールテントでいう前室のスペース、これもシェルター内の約半分は前室のように使えるのでかなり広いです。
Lardaでソロハイクなら、大人一人が余裕を持って寝ることができるスペースが丸々前室になるのでバックパック、シューズを置いても全くストレスに感じません。
さらにさらに、当たり前ですがほとんどの山岳用ドーム型テントより軽量です。
例えば、多くの人が持っているであろうモンベルのステラリッジ2は公表重量1,230g(本体、レインフライ、ポールの重量)です。
OHMI のギアで比較してみると、
- Larda 370g(スタッフバッグ含む)
- MT Bivy 290g(バンジーコード、スタッフバッグ除く)
- Dual Pole Extender 66g
- Carbon Fiber Trekking Pole2本 330g
トータル 1,056g 。これでも174g軽いですが、トレッキングポールは歩くとき使うからバックパックには付けないよ、という人は、実際に担ぐ重さは726g!なんと500gも軽くなります。
まとめ
いかがでしょうか?ワンポールフロアレスシェルターが魅力的に見えてきましたか??
フロアレスシェルターが良いものでドーム型、ダブルウォールテントが良くないもの、とは1ミリも思っていません。
適材適所、行く環境に合わせた道具がよいと思いますし、何が快適かは十人十色。
でも、フロアレスシェルターを使って得られる快適さがあるのも事実です。
これを読んでフロアレスシェルターデビューされる方が一人でもいたら、これほどうれしいことはありません。