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2025年、約5ヵ月に渡るPCTスルーハイクを成し遂げたアライカイトさんa.k.a MJ / SAIKO

インタビューの後編では、PCTで使ったギア、OMIEquipmentへの想いについて伺った。

 

福井のアウトドアショップ THE GATE MOUNTAINのスタッフ アライカイトさん

日本でのトレイルネームはMJ(マウンテンジャンキー)

@THE GATE MOUNTAIN

@just.a.kaito

 

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PCTを共に歩いた相棒たち

 

--5月下旬に出発されて、最初はオウミイクイップメントのギアでいうと、ビビィだけを持って行かれたんですよね。

MJ:そうですね。出発時点ではビビィだけでした。

 

--PCTの前半って、特に南カリフォルニアは砂漠地帯が多くて、正直、雨の心配はほとんどないじゃないですか。だからビビィ単体でも、かなり快適に行けたんじゃないかなと思うんですがいかがでしたか?

MJ:まさにその通りでした。最初は「これだけで十分だな」と感じていました。

雨もほとんど降らないし、夜も乾いている。シンプルに寝床を確保できればいい、という環境だったので。

 

--そんな中で、最初にギアの不具合が出てきたのは、どのあたりでした?

MJ:たしか、使い始めて2ヶ月くらい経った頃で、まだカリフォルニアにいたと思います。

あれはもう、完全に僕の不注意でした。

ビビィのアッパーパネルのファスナー部分、ポールで横方向にテンションをかけた状態で、閉めづらいなと思いつつ、そのまま力を入れて引っ張ってしまって。

そしたら、ビリッと破れてしまった。

でも、素材がソフトタイベックだっていうのは分かって使っていましたし、引き裂き強度に限界があるのも理解していたので、「これはしょうがないな」っていう感覚でした。

 

--実は、最初のデザイン段階では、あの部分を伸縮しないウェビングテープにしてたんですよ。でもそれだと、乗った瞬間に破れるんですよね。それで、最終的にバンジーコードに変えたんです。ただ、バンジーにしても、一定以上の力がかかると、どうしても素材的に耐えきれない部分はあって。

MJ:はい。それはもう、特性として受け止めてました。

 

 

 

--それで、「交換品を送りましょうか」と連絡したら、MJさんから「いらないです」って返ってきて。正直、かなり驚きました。

MJ:僕の中では、ギアって「壊れるもの」だと思っているんです。

特にロングトレイルは、半年間、毎日使う。バックパックも、シェルターも、ウェアも、必ずどこかしら壊れていく。

だからこそ、直しながら使う。

ギアって、単なる道具じゃなくて、旅を一緒にする相棒みたいな存在だと思っていて。

自分が壊してしまった部分でもあるし、「最後まで使い切りたい」という気持ちが強かったんですよね。

 

--針と糸と、ダクトテープで直したって仰ってましたよね。

MJ:はい。応急処置ですけど、十分機能しました。

PCTを歩く人たちは、だいたいみんなリペアキットを持ってますし、破れたら直して、また使う。それが当たり前という感覚ですね。

 

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なぜ、オウミイクイップメントだったのか

 

--実際、ビビィだけで歩いたのは、どこまででした?

MJ:実は、自作のタープも一緒に持ってはいたんです。ただ、ほとんど使わなかったですね。

1ヶ月以上経ってから、1回使ったくらいです。

それ以降、オレゴンに入るまで、ほぼ使わなかった。

「これはもう使わないな」と思って、日本に送り返しました。

必要になったら、現地で買えばいいやって。

でも、オレゴンに入ると、一気に雨が増えるし、森林帯に入る。

「これは、やっぱりタープがいるな」と思って、現地で探したんですけど、なかなかビビィと相性のいいものがなくて。

 

--そこで、連絡が来たんですよね。

MJ:はい。結論として、「やっぱりオウミのビビィに一番合うのは、オウミのタープだな」って思ったんです。

 

--ぜひ深掘りさせて頂きたいのですが、MJさんはアウトドアショップで働かれているので、ブランドとしては色々な選択肢があったと思います。なぜ、そこまでオウミイクイップメントだったんですか。

MJ:まずは「思想が一貫している」ことですね。

軽さのためだけじゃなくて、「どう使われるか」、ビビィとタープが「組み合わせて使われる」ことも含めて設計されているのが、使っていてすごく分かるんです。

自作タープがダメだった理由も、そこなんです。

設計思想が「タープ単体で完結する」ものだった。

でも、僕はビビィと併用したかった。そのズレが、設営のストレスとして全部出た。

 

--まだ1人用のタープは開発中で、送らせていただいたタープも2人用でした。大きすぎませんか?と聞きましたが、それでもいいと。

MJ:はい。でも、あのサイズ感が良かった。

一人用だと、どうしても守れる範囲がギリギリになる。

天候から「守られている」という安心感は、精神的にも全然違います。

 

あとはもう縁ですね。

最初はタープ泊で行こうと思っていましたが、「せめてビビィはあった方がいいよ!」と色々な人から言われて。シエラとか蚊がすごいよ、と。

ただ、なかなかコレだと思うギアが見つからず、考えていた頃にオウミイクイップメントの取り扱いがお店で始まって、POPUPを一度やったんですよね。


--タイミングとしてはPCTへ出発される直前でしたね。

MJ:製品も直接見させていただいて、開発者の人柄にも触れて、「どういう人が、どういう考えで作ってるか」

それを直接聞けたのが大きかったです。

この人が作ってる道具なら、

PCTに持って行きたいな、って素直に思えた。

それが一番の理由です。

 

 

--ありがとうございます。改めて、タープを追加してからの使用感はいかがでしたか?

MJ:めちゃくちゃプラスでしたね。

特にオレゴン、ワシントン、それから一度ノースカリフォルニアに戻って歩いた区間。

後半は本当に、雨も雪も一気に増えました。


--あの辺から、フィールドが一気に変わりますよね。

MJ:そうなんです。雨が強すぎて一日停滞、雪がひどくて停滞、みたいな日も何回かあって。

そういう時は、もうほぼずっとタープの下にいました。

一回、2〜3時間、タープを突き抜けるんじゃないかっていうくらいの大雨が降ったことがあって。風もかなり強かったんです。

でも、ペグに加えて、岩でしっかり固定して張ったら、

破れもないし、ガイロープが傷むこともなかった。

結果的に、何事もなく、安心してその下で寝られました。


--それはよかったです。

 

MJさんが自作したのはULの元祖RayWaytarp

 

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PCTでのリアルな使い心地

 

--ギアの話をもう少し続けさせてください。かなりざっくりした質問にはなってしまうんですけど、実際の使い心地ですね。特にビビィって、構造的にも決して広いものではないじゃないですか。毎日使っていると、閉塞感とか、窮屈さを感じる方も多いと思うんですが、どうでしたか?

MJ:僕は正直、1週間くらいでまったく気にならなくなりました。

慣れちゃうんですよね。

そもそも僕のスタイルとして、「寝る時だけ中に入る」っていう使い方なんです。

ビビィの中で長時間過ごすとか、そこで生活する感覚はあまりなくて。

「ちゃんと寝られればOK」っていう割り切りが、最初からありました。

サイズ的にも、特に問題は感じなかったですね。

僕は山と道のロールマットを使っていたんですけど、幅も切らずにそのまま綺麗に収まりますし、

長さ170cmのスリーピングマットも、フルサイズで入れていました。

 

--その状態で、窮屈さはなかった?

MJ:むしろ、使い方次第で結構快適でした。

マットを少し足元側に寄せると、頭側にスペースができるんですよ。

そこに、モバイルバッテリーを置いたり、本を置いたり。

寝転びながら、ビビィを閉じた状態でスマホ触ったり、読書したりも普通にできました。

なので、「狭くて何もできない」という感じは、僕は全然なかったですね。


--実は、サイズ感はすごく悩みまして。テストも含めて「自分が一番気持ちよく使えるサイズ感」を基準に、ビビィもタープも設計しているんです。ありがたいことに、最近海外からのオーダーも増えてきていて。ただ海外の方は身体が大きいので、「狭い、小さい」といった声も出ているんです。なので、今後はサイズ展開も検討中です。

MJ:なるほど。身長が180cm超えてくると、「ちょっと小さいな」って感じる人もいると思います。

ただ、個人的に思っていたのが、

オウミのビビィって、タイベックで白いじゃないですか。

なので、光が結構入ってきますよね。

朝なんかは特にそうだし、夜でもヘッドランプを点けると、内部が明るく反射する。

暗闇に包まれるような閉塞感がないので、心理的にはかなり楽だったと思います。

 

 

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OHMI Equipmentのこれから


--では、後半戦まで含めて使ってみて、「ここはこうだったらもっと良かったな」という点はありましたか?

MJ:そうですね。まずビビィで一つ思ったのは、ヘッドランプを吊るせるループが欲しかったな、という点です。

ヘッドランプの置き場所って、意外と困るんですよ。

ポンと置いておくと、ひっくり返ったり、どっか行ったりして。

--確かに。

MJ:一回、自分で縫い付けようかなとも思ったんですけど、

ちょっと面倒でやらなかったんです(笑)

 

--タープについてはどうでしたか?

MJ:基本的には、不満はほとんどなかったです。

シンプルだからこそ、いいなとも思いました。

ただ一つ挙げるなら、ガイロープの収納ですね。

タープのペグダウンポイントの裏側にメッシュポケットがあって、

そこに紐をまとめて突っ込める仕様、あれは便利だなって思ってました。

撤収の時って、どうしても急いでるとロープが絡むじゃないですか。

次に広げた時、それを解くところから始まるのが、地味にストレスで。

--なるほど。それは次回のロットで、ちょっと検討したいですね。

 

 

--実際に使っていただいたギアの改善点についてはいくつか挙げてもらいましたが、「ないから作った」「仕方なく買い足した」みたいなものはありますか?

MJ:そうですね……実は一つ、自分で簡単に“改造”したものがあって。

もともと、僕は毎回

「グランドシートを敷いて、その上にビビィを置く」

という手順で設営してたんです。

でも、PCTってそれを毎日やるじゃないですか。

さすがに途中から「ちょっと面倒だな」って思うようになって。

 

--ロングトレイルならではですね。

MJ:それで考えたのが、

ビビィの裏側にマジックテープを貼って、

床側にエマージェンシーシートを切って、同じサイズにして貼り付ける、という方法でした。

--なるほど。一体型ですね。

MJ:そうです。

取り外しもできるし、つけっぱなしにもできる。

めちゃくちゃ簡単な方法なんですけど、これがかなり楽になりました。

たぶんこれは、週末ハイクだと気にならないんですけど、

ロングトレイルだと確実に効いてくるポイントだと思います。

 

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--最後になりますが、この記事を読んで、ギアについてもっと知りたいという方に向けて、一言いただけますか。

MJ:もし実物を見たい方がいたら、

福井の THE GATE に来てもらえれば、現物があります。

実際にPCTで使った体験も、直接お話しできますので。

--それは心強いですね。

MJ:ネットの情報だけじゃなくて、

「どう使って、何が良くて、何が大変だったか」

そういう話を聞いてもらえたら嬉しいです。

 

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PCTという過酷なフィールドで使い続けてきたからこそ語れる、リアルな言葉。

MJさんの体験は、これからギアを選ぶ人にとって、大きなヒントになるはずだ。


もし、実物を手に取り、使い心地をもっと知りたいと思ったら、

福井のTHE GATEで、ぜひ直接話を聞いてみてほしい。

フィールドから生まれた道具は、これからも進化し続けていく。